ホモ・デウス

世界的なベストセラー本「ホモ・デウス」によりますと、我々人類「ホモ・サピエンス」はこれまで人類を苦しめていた「飢饉」「伝染病」「戦争」の3つをほぼ克服したレベルにあるそうです。

日々の報道や様々な記事に晒されている私達にとっては、飢饉や戦争は全く克服なんてできている気がしませんが、それは実際のデータでは違うそうです。

2010年で飢饉と栄養失調による死者が100万人に対して、肥満が原因で亡くなった方は300万人以上、栄養失調者が8億5000万人に対して肥満は21億人を超えているそうです。

また天然痘は根絶、SARSや鳥インフルエンザのような新しい伝染病もパンデミックを起こすことなく迅速に対応したため死者1,000~1万人程度に押さえ込み成功、現在の死因はガンや長生きしすぎることによる老化といった原因によるものが主流となっているそうです。

また全世界の死亡率で暴力が原因の割合は約1%で62万人、それに対して自殺者は80万人。

恐ろしいテロの場合、その被害者の数は7,697人ということです。

日々の報道等はどうしても視聴率を稼ぐために、センセーショナルなものやショッキングなものを題材に選びがちですし、実際ま稀な例にもかかわらずまるで世の中がそいう暴力などで満ち溢れているかのようなネガティブな報道ばかりになってしまっていて私達も知らず知らずのうちに洗脳状態になっているのかもしれませんね。

スポーツ界における武道人口(柔道・剣道・空手)の割合はデータを見るとほぼ10%程度のようです。

年々高齢化が進み、中高年の参加者は増加傾向にあるようですが、ほぼ横ばいといった状況のようです。

戦争や暴力が無くなったわけではありませんが、それに巻き込まれる確率がどんどん下がってきているのは事実なようで、それに伴い武道や格闘技といった護身術も自然と必要とされなくなってきているのかも知れません。

格闘技の場合は競技としても興行としても道筋ができていますので、さらなる発展もありえそうですが、武道の場合はその性格上、現代においては趣味の一貫としての要素が強いと思われます。

ホモ・デウスを読むと、これからの武道はその役割をただの護身術や文化活動などからさらに一歩も二歩も進んだ、違うものへと変革していかなければいけないのかも知れません。


この「ホモ・デウス」には他にも大変興味深い実験などが載せられています。

特に自由意志があるのか無いのか?の実験など、大東流を稽古で実際にかんじることがあり、共通するものがあるように思います。

自分が身体をコントロールしていると思っているけど、本当はそうではないという事を大東流の稽古を通して皆が薄々かんじているのであります。



ホモ・デウスでは今後の人類の行く先についても予測がなされていて、非常に興味深い内容になっています。

何かと精神論に偏りがちな我々日本人ですが、きちんとした科学的データを元に判断するのも重要です。

何をやるにせよ、みなそれぞれの幸せを求めて何かをやっているのであります。


そこを履き違えては、たとえ武道でどんな達人になろうともただただ虚しいだけになってしまうような気がします。


このホモ・デウスの著者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の前作、「サピエンス全史」も非常に面白くもし興味を持たれた方はぜひそちらも読まれてみて下さい。

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