1を聞いて10を知ったつもり!?


認識できないことは、その存在にすら気づきません。

人は自分が”知らない”ことは認識ができません。

認識できないということは、その存在にすら気づくことはできないのであります。

大東流だけでなく、古来からの武道にはそういう類の技術が多く存在していると思います。

なので自分の過去の経験や知識を引っ張り出してきて、いま習っていること当てはめてみても、そもそもの土台が違っているため、百害あって一利なしとなってしまうんですね。


まあ一利なしとは言い過ぎかも知れませんが、習得がずいぶん遠回りになってしまうのは事実です。

大半の武道では、たとえ他流派でそれなりの実力を持っていたとしても、違う流派に入門する場合は、まずは過去の経験や実績は捨て頭を真っ白にして、生まれて初めて武道を学ぶかのような姿勢を求められます。


ですが、そうは言っても人間そう簡単に真っ白にはなれるもんじゃないです。

特に人生の経験値が高い方ほど難しい問題のように思います。


そしてこれは何も武道に限ったことではないかも知れませんね。


年齢による習得の差?

何か新しいことを学ぶ時、一般的には若い人の方が覚えが早く上達度も高いのに比べ、年齢が高くなればなるほど習熟が遅くなるのは、単に身体が衰えてきているから、というだけでなく、年齢とともに積み重ねた「経験」が邪魔をして、本質を理解できないからという理由の方が大きいように思います。

年齢により身体の衰えはあるにしても、80代になっても筋骨隆々で若者に負けない動きをされるウルトラスーパーおじいちゃんがいらっしゃいますし、必ずしも身体の問題だけとは限らないと思います。


若い人は経験が少ないぶん余計な知識も無く、また成功体験も少ないためとりあえず言われた通りに、出来るようになるまで一生懸命やろうとします。

ところがある程度人生経験を積んだ年齢になると、まずは言われた通りにやろうとしないものです。

あれこれ説明しても聞いてるけど聞いていない、そんな人が多いように思います。

自分の常識に変換して自分の考えでやろうとするんですね。

まず初期段階においては自分の考えは一切入れず、どんなにできなくても言われた通りにやってみようとする事が大切です。


1を聞いて10を”知ったつもり”になる、とでも言いましょうか。

「知っている」と「理解している」は違います。

また理解しているから出来る、というわけでもないんですよね。


知らない事を意識は認識すらできないので、そんな状態であれはダメだの、他ではこう言ってるだのと屁理屈をこねくりまわして、何だかんだと批判的になったりする前に、自分の稽古量が少なすぎる、ということを自覚する方が先決だと思います。


また長い人生経験以外にも、虚栄心や見栄などは大きな障害になります。

人から良く見られたいだとか、凄いと言われたいなどと言ったことは、何かを始めるきっかけには良いのですが、いつまでもそこにとどまっていてはおかしなことになってしまいます。


他人目線で自分の行動を決めるのは、他人に人生を操られているのと同じです。

他人が自分に興味を持ってくれなくなると、すぐに冷めてしまい結局続かず途半端にやめてしまうことになりますし、それをベースにしている人は技の習得や技術の進化よりも、その道の権威に成りたがるので、お金で段位を買うような、そういう武道の本質とは違う方向に行ってしまったりするものです。


また何かしらの奥義やらテクニックを知れば簡単に出来るようになる、なんてことはまずありません。

どのような奥義や秘訣も、コツコツと積み上げた稽古のその先にしか無いのであります。

例えばテニスをやろうとして本を読だりYou Tubeを見たりして、ちょっこっと練習しただけで、プロテニスプレーヤーと同等になった!と言うようなもので、なんとも尊大でその道を真剣に歩んでいる方々に大変失礼なことだと思います。


積み重ねたもの通してでしか得られない事があるのは、人生経験の豊富な方なら良くわかると思います。


とまあ、偉そうにまるで他人事のように言ってしまいましたが、これ実は私自身の事が多分にありまして、思い返しますとほんと赤面もので、冷や汗たらたらです。


まずは自分の考えを捨てましょう。

まとめると

1.経験の無いものを学ぶ時にはまずは自分の考えを捨てた方が良いです。

 それまでの経験はある程度のレベルになれば必ず役に立つので、それまでは一旦捨て置いておきましょう。

2.わからないなら、わかるようになるまで稽古を積み上げ、自身の身体をベースに研究を深めていく姿勢が大切です。

3.常に自分は分かってない、とにかく稽古が足らない、と常に自戒しましょう。


とまあこんなところでしょうか。

こう偉そうに書きながら、自分自身が一番ダメやんけ!とギクリとしてしまいましたが(大汗)


そして何より何かを習得するには、兎にも角にも面白がって取り組むことが一番です。

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